ペットも“被災者”。飼い主に戻したい│フェレットとの暮らし2

ペットも“被災者”。飼い主に戻したい

ここでは、ペットも“被災者”。飼い主に戻したい に関する情報を紹介しています。
以下 そのままの記事抜粋です。





ペットも“被災者”。飼い主に戻したい


 被災地で、盲点になりがちなペットの救済。1組でも多くの飼い主と迷子のペットが再会できるようにと、「ペットファインダー」というプロジェクトを立ち上げた女性がいる。Webプロデューサー、阿部麻紀子さんの活動を紹介する。

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飼い主の悲痛な叫びに「なんとか見つけてあげたい」

 フリーランスのWebプロデューサー、阿部麻紀子さんは震災直後、インターネット上、特にツイッターで、ペットを捜す被災者の悲痛な声や飼い主とはぐれてしまったペットを保護している、という情報を目にするようになった。しかし、ツイッター内で届く声の範囲は限られている。ここで飼い主と迷子のペットが再会できるのは、至難の業だろう……と見ていた。

 そう思っているうちに、被災動物のレスキュー活動を展開している動物愛護団体が独自に情報公開サイトを立ち上げた。続いて大手IT企業によって、それらの情報の集約サイトが立ち上げられたが、これらの被災動物関連のサイトを見て、使い勝手や検索性の部分で「自分ならこうするだろう」と考えたという。

 そこで阿部さんは、自分たちWebのプロができることとして、被災者の人たちがより使いやすく、情報が整理されていてマッチング効果の望めるペット捜しのサイトを作ろうと立案。普段Webになじみのない人たちのために自ら出向いて検索代行作業を行うことも視野に入れた「ペットファインダー」というプロジェクトを立ち上げた。震災から間もない今年4月のことだった。実は阿部さん自身も愛犬を飼う身であり、まったく他人事ではなかった。

 阿部さんが日々のWeb業務の中で、クライアントから“解決してほしい”と相談を受ける一番の悩みどころは、「Webに情報公開してもビジネスの効果が出ない」ということ。今、一般ユーザの間に急速に広まっているツイッターなどのコミュニケーションツールは、迅速な情報収集や告知などの点では非常に便利であるものの、拡散した情報をまとめて必要なユーザー同士をつなぐ機能がなければ、本当に欲しい情報を入手するのはなかなか困難だと考える。

 「ペット探しの情報集約サイトは、さすがに掲載情報数が多いんです。でも、パソコンのみの対応で携帯からは見られない。スマホで閲覧するには重すぎる。そして『保護している』という情報も『捜している』という情報も1カ所に混在していたり、キーワードに統一性がないために検索で探し当てられる確率が不安定だったり……。ユーザーの立場を考えると、使い勝手の面で気になるところがいくつかありました。そもそも現地でパソコンをすぐに見られる人はどれだけいるのだろう? 実際は携帯を所持して避難できた人が多いのに……と」

 阿部さんは日ごろ制作を共にしている仕事仲間たちに声をかけ、このボランティアプロジェクトを開始した。ゴールデンウィークには宮城県石巻市へ赴き、テントを張りながら動物ボランティアに従事。並行して被災地の状況をリサーチした。このときの経験が大いに役立っているそうだ。

 通常業務が非常に多忙なメンバーが仕事時間外、帰宅後の深夜や土日でこなすサイトの制作作業は時間を要してしまう一面もあったが、このプロジェクトを知った仕事先の企業も全面的にバックアップをしてくれるなど、周囲の助けを得ながら、6月にはなんとかサイトの完成にこぎつけた。

一時帰宅の際、車を追いかけてきた愛犬の姿に……

 「ペットファインダー」プロジェクトには2つの大きな特徴がある。パソコンのみならず、携帯やスマホでも検索しやすいサイトを提供しているという点と、ふだんパソコンや携帯などを使い慣れていない年配の方やそれらのツールが手元にない方などのために、制作メンバーを含むIT関係のボランティアたちが、自らノートパソコンやiPadを片手に被災地を行脚して検索作業を手伝うという点だ。

 また、サイトのつくりに関して言えば、「保護している」情報に特化し「捜している」情報を混在させないことで検索性を高め、さらに検索ワードの統一性を意識することで、マッチング率のアップを狙っている。

 ペットファインダーの検索代行ボランティアは、すでに7月の第1週目には郡山市、第3週目にはいわき市を訪れている。現在は、原発事故のために自宅を離れなければならず、ペットと離れ離れになってしまった人が多い福島県が主なボランティア先だ。

 「私たちのような『技術屋』がうかがうと、被災者の方々も気負うことなく、気さくに話しかけてくださるので、現地の状況がよくわかるようになりました。多くの飼い主の方は、避難命令の後、すぐに自宅に戻れると聞いてペットを置いてきたのに、実際は戻ることができなくなってしまいました。また、避難所生活に動物を持ち込むことは不可能……。『やむをえずペットを見捨てるような結果になってしまった』と言う被災者の方々のお話は、涙なくして聞けませんでしたね」

 ある被災者は、涙ながら阿部さんに次のような話をしたという。

 一時帰宅を許されたときのこと。車で自宅を訪れると、聞き慣れたエンジン音に、震災後置いていかざるをえなかった愛犬が喜び勇んで走り出てきた。でも、今回も避難所には連れて帰ることができない……。とにかくできるだけエサを置いてそっと車を出すと、バックミラーには追いかけてくる愛犬の姿が映っていた。飼い主は断腸の思いで愛犬がついて来られないよう、アクセルを踏むしかなかった。ひとしきり走った後、一生懸命追いかけてきた愛犬は空を見上げ、車を追いかけるのをやめたという。後日、ふたたび一時帰宅をしても、家を守ってくれていた愛犬の姿を見ることはなかった。何がなんでも飼い犬を連れてくるべきだったと、飼い主は今も後悔の念にかられている、と――。

 途中、阿部さん自身も声を詰まらせながらこの話を聞かせてくれる中で、「このような被災者の方々のどうしようもないジレンマ、問題の根本を解決できるのは、残念ながら法的な効力を持つ行政だったり、権力だったりするのだということも痛感しました。でも残念ながら、今の時点では、その権力が被災者の方や動物たちの救済のために行使されているとは言えない状況ですよね」

“夢”は、被災地の学生さんたちに引き継ぐこと

 飼い主の辛い話に心を痛める一方で、阿部さんは「これからがペットファインダーの正念場」と意気込んでいる。というのも、8月末に避難所が完全閉鎖となり、仮設住宅に入居したことでふたたびペットが飼える状況となった人々が、離れ離れになったペットを本格的に捜し始めることが予想されたからだ。

 2011年8月現在、ペット捜しの情報集約サイトでは、「保護している」情報・「捜している」情報あわせて約3500件ほど(東北全域)掲載されているが、ペットファインダーでは迷子のペット情報に絞って約200件ほど(現在、福島県のみ)を掲載。さすがに集約サイトの情報掲載件数は多いが、ペットファインダーのスタンスはこうである。

 「もっと情報掲載件数を増やせるに越したことはないのですが、そこにはそれほどこだわっていません。私たちの活動のもうひとつの柱は、現地へ赴き、インターネットで検索するのが難しい方々に代わって作業を代行すること。ペットファインダーサイトに掲載された情報にこだわらず、他のサイトも利用して、離れてしまった飼い主さんとペットをマッチングさせることが先決だと考えています」

 また、阿部さんには、ペットファインダーを通して見据えている、被災地復興への壮大なビジョンがある。

 「個人的には、最終的に被災地の学生さんたちにこのペットファインダーの検索代行作業などを引き継げたらと思っているんです。この作業を通して、ITが人の役に立てる現場を実感してもらえたら、IT業者冥利に尽きます。そもそも最近の学生さんたちは生まれたときからデジタル世代。ツールも使いこなせますから、検索作業なども問題ないと思います。あとは、ペットファインダープロジェクトがゆくゆくは行政サービスの一環のようになってくれれば、とも思います」

 阪神大震災や新潟県中越地震の際は、家畜などの動物たちのレスキューも速やかに進められたという。確かに今回の東日本大震災は被害も広範囲に渡り、対応が難しい部分もあったかもしれないが、その点はやはり現在の行政の力量によるものだったといわざるをえない面もあるだろう。

身の丈を超えない活動を継続すること

 最後に阿部さんは、ボランティアについてこう語った。

 「私が考えるボランティアは、自己実現のためではなく、あくまでも『被害を被った人』のためなんです。たまたま自分たちはITの仕事に就いているので、そのスキルを生かしたボランティアとなりましたが、ふだんの仕事の延長でお役に立てれば、長く続けることも可能です。ボランティアは、決して身の丈を超えない活動を、継続することが大切だと思います。そして『被災者』とひとことで言っても、それぞれの方の状況、それぞれの方が必要としているものは異なり、被災者をひとくくりにはできない現実がありますので、周りでできる人ができることを、分担してやっていければ、結果として復興のお手伝いになるのではないでしょうか」

 ボランティアでありながら、現地の若者や行政への希望も託している「ペットファインダー」プロジェクト。「サイトのほうもまだまだ発展途上。ボランティアメンバーでどんどん検証し、もっとブラッシュアップしていきたい」。プロ意識とボランティア精神の溢れる阿部さんたちの活動に、今後も注目したい。


◆ペットファインダー

http://petfinder2011.com/
※ペットファインダー事務局へのお問い合わせは、上記サイトよりアクセスください。



●被災地ペット捜しの仕組み

震災前より、保健所の殺処分から動物を助ける活動を行っている動物愛護団体が、震災直後より速やかに迷子のペットたちを救護。ペットファインダー等の動物捜しサイトでは、その救護情報を提供してもらい、離れてしまったペットを捜す飼い主とのマッチングをはかっている。

※石巻地区・動物救護センターは9月末で閉所しましたので、追加しました(10/27修正済み)


以上 ここまで 



ツイートできる人は拡げてもらえるとうれしいです。

少しでも多くのペットが飼い主のもとに戻れますように




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